ところで、マドリッドにいる間にどうしてもフラメンコが見たかったので、ホテルのおじさんに今夜のフラメンコショーを予約してもらうことにした。このホテルの人はとてもいい人たちで信頼できたので、こういう時は地元の人に聞くに限る。
フラメンコのショーはだいたいどこも夜遅くに始まるので、危険な地域をふらふらしたくない。だからホテルのおじさんに頼み、お店の質も悪くなく、ぼったくりのない安全なところを予約してもらったのだ。
今夜のフラメンコのショーを予約してもらい、それまで時間があるので、マヨール広場のカフェで夕食を食べることにした。スペインのバルでよく見かけるおつまみ、イカの天ぷらみたいなカラマーレス・フリートルというものを食べた。私は日本でもイカの天ぷらやイカフライというものが異常に好きなので、スペインではこれを食べるのを本当に楽しみにしていた。
味は日本で食べるイカの天ぷらとほとんど変わらないだろう。もちろんおしょうゆをつけて食べるのではなく、塩味だったと思うが。ギリシャでもこれと同じ様な料理があった。たしか名前もカラマリとかいう名前だった気がする。ギリシャでもこの料理が大好きで、よく食べたのを思い出す。同じ地中海に面した国だから、料理も似ているのだろうか。
こうしてマヨール広場のカフェで少しくつろいだあと、近くのお土産売り場を覗き、足りないお土産などを買いながら一度ホテルに戻った。まだまだフラメンコのショーまで時間があったので(たしかショーは22時半くらいから)、シャワーを浴びて準備をした。
スペインの夏の夜は、イタリアなんかと同じくかなり夜遅くまで明るい。トレドから帰ってきたのが17時を過ぎていて、この頃にはだいぶ時間がたっていたにも関わらず、外はまだ明るいのだ。それに加え、私たちが泊まっているホテルの周辺やマヨール広場周辺はとても賑やかで、まだまだラテンの雰囲気であふれている。なんだか時間の感覚がずれてしまうような気がした。
でもこういう雰囲気が大好きな私には、たまらない雰囲気でもあった。なんだかこの町にいるだけで楽しくなってしまう、ワクワクしてしまう、そんな空気であふれていたのだ。
さて、21時30分頃、早めにホテルを出て、おじさんに予約をしてもらったフラメンコのショーを見られるタブラオに向かうことにした。場所や名前はメモに控えておかなかったので忘れてしまったが、それほどホテルから遠いところではなかったし、夜の長いマドリッドではこの時間はまだ危険な時間ではなかったので、歩いて出かけた。
ところでタブラオとは、フラメンコショーの見られるバルやレストランのことを指すらしい。“タブラ”という、スペイン語で“板”を意味する言葉が元になっているらしく、板張りの舞台があるバルやレストランのことをタブラオというらしいのだ。要するに、フラメンコのショーを見られるバルやレストランのことをタブラオというのだろう。
私の持っていった“地球の歩き方”には、タブラオの情報は2つくらいしか載っていなかった。それを見ると、2つともドリンク付きの料金でどちらも4500ペセタ(4000円弱)くらいの値段だった。ショーの時間は、どちらのお店も22時半から2時と記載されている。私たちがおじさんに予約してもらったお店も、値段・時間ともにこのくらいだったので、これが相場なのかもしれない(観光客にとっての)。
ショーの時間を見てもわかるように、マドリッドの夜は長いのだ。普段海外の町であまり夜遅くまで遊ぶようなことをしない用心深い私は、夜中の2時くらいまで外で遊んでていいのかと不安になったけど、フラメンコはどうしても見たいし、これが普通だというのであれば問題ないだろうと思い、思い切って楽しむことにしたのだ。行きは歩いていっても帰りはタクシーで帰ってくれば大丈夫と自分に言い聞かせて。
フラメンコのタブラオに向かって歩き出したら、なんと町角でモロッコで出会ったあの日本人カップルにまたまた遭遇しびっくり!!もう二度と会うことはないと思っていただけに、さすがにこれだけ何度も再会すると笑えてくるものがある。お互い顔を見て笑い出し、縁の深さに驚いたものだ(かといって、この後なにかあるほど縁があったわけでもないのだが・・・)。
カップルとちょっと立ち話をして別れ、私たちはタブラオを探すべくまた町を歩き出した。なかなかお店が見つからず、かなりウロウロしたあとやっとおじさんが予約してくれたタブラオを発見した。それでも開演時間まで時間があったので、近くのカフェでコーヒーを飲んで時間をつぶすことにした。
フラメンコを前にしてやや興奮していたためか、Mちゃんも今日は機嫌よく二人で久しぶりに話に花が咲いた。今度はゆっくりしすぎてしまい、気がついたら開演時間の22時半を過ぎていて慌ててタブラオに駆け込む私たち^^;
案の定ショーはもう始まっていたが、運良くステージの横の席に案内され、間近でフラメンコの迫力を味わうことができた。ドリンク付きのショーだったので、私は赤ワインを注文。考えてみれば、スペインに来て初めて赤ワインをここで味わった。
そして初めてのフラメンコは、想像以上の迫力であった。フラメンコは、ジプシーの文化とアンダルシアの地域が融合してできた独特のものだというが、その迫力はなんともいえないものがあったのだ。これは生で見ないとなかなかわからないものだろう。美しいとかかっこいいだけでは言い表せない。でも情熱的という言葉だけでも言い表せない、なんとも不思議な迫力であふれている音楽というか芸術というか、そういうものであったのだ。
ポルトガルでファドを聞いた時も、「本場でこのような音楽を聴けて本当に良かった」と感動したものだが、フラメンコもまさにその通りだった。私たちが行ったタブラオがフラメンコのレベルの中でどの程度の位置にあるのかよくわからないが、私は心の底から満足することができた。この値段だったら安いものだと、貧乏学生の私ですら思ったのであった。
演奏している男の人や踊っている女の人たち、ものすごい気迫があり、そばで見ていて鳥肌が立つほどだった。その激しさは、当たり前かもしれないけど、本当に好きではないとできないなーと感じさせる何かがあふれていた。まるで天職のようにフラメンコをパフォーマンスしている人たちに、羨ましさを感じた。
フラメンコのショーは、とても盛り上がっていたが、夜中の12時を過ぎた頃から、徐々にお客さんが帰り始めた。やはり観光客が多いため、みんな時間が気になるのだろうか。私はフラメンコの魅力に引き込まれ、とてもじゃないけど途中で帰る気にならず、最後まで残った。
結局最後まで残っていたのは、ほんの数組のお客で、最初の盛り上がりを考えると寂しいくらいだった。お店を出たのは2時ちょっと前。料金は4450ペセタ(約4000円弱)。大満足の内容であった。
お店の外に出てタクシーを待っていたら、若くてかっこいいお兄さんが誰かを待ち構えていた。すると、先ほどまで踊っていたフラメンコのダンサーのお姉さんが出てきて、まるで映画の中のシーンのようにその若い(多分かなり年下と思われる)お兄さんと熱い抱擁を交わし、二人でどこかへ去っていってしまった。
その二人の様がなんて絵になることか。あの情熱的な踊りをした後、若い恋人と去っていく美しいダンサー。惚れ惚れするほどであった。
帰りのタクシーの中でもなかなか興奮の冷めやらぬ私。夜遅く出かけることに不安があったりしたが、帰りのタクシーもぼられることはなく(たった450ペセタ。400円弱で済んだ)、マドリッドの夜遊びは無事に楽しく終わりを迎えることができた。
イタリア人じゃないけど、人生においておいしい食べ物があって、素晴らしい音楽があれば十分だとこの夜は心の底から思った。私には日本に家族がいて、大好きな旅行を好きなだけ楽しんで、こんな素敵な経験をしている。何て幸せで充実している人生なんだろう!旅行ももう残り少なくなってしまったが、今日も充実している自分を感じた。
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