さて、お昼を食べたあとは、今度はシントラの町を観光することにした。シントラの町はそれほど大きくない山々に囲まれた町といった感じなのだが、美しい緑の山の中のあちこちに、観光名所の王宮や宮殿などが点在しており、その景観が世界遺産に登録されているということだった。
シントラを効率良く観光したいなら、駅前からバスが出ており、駅→旧市街(王宮)→ムーア城→ペーナ宮殿→旧市街→駅のコースをとっているので、それに乗ると便利だ。でも、私はシントラの世界遺産の建物とかにそれほど興味はなかったので、適当に山を登り、散歩がてらあちこち景色を楽しもうと思い、バスには乗らずに山に向かって歩き出した。
私は、旅行に行くと、効率良くたくさんの国や場所をまわるのよりも、たとえたくさんまわれなくても自分の足と目でじっくりその地域を探索するのが好きなのだ。絶対にそのほうが後々まで自分の記憶に残るし、町のこともわかるような気がするのだ。要するに私にとって旅行とは、自分の心を豊かにしてくれるものなので、効率よりも感性や感傷のほうを大切にしたいのである。
こうして、ガイドブックに載っている大まかな地図を頼りに、駅から山のほうに向かって歩き出した。とりあえず標高500mの山頂にある“ペーナ宮殿”という有名な宮殿を目指して、歩くことにした。
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