たび猫の南欧・モロッコ旅行記

南欧・モロッコ旅行記１５日目

南欧・モロッコ旅行記１５日目：トレドの町でお土産探し

　少し休み、元気が出てきたので、今回の旅では初めてになるであろうお土産探しをしながらトレドの町を散策することにした。なにしろ20日間近い旅行だったので、お土産なんかをうっかり最初のほうに買ってしまったら荷物になるので、今まで買い物らしきものはほとんどしていなかったのだ。

　しかし、やっと旅行も終わりに近づき、スペイン滞在も残すところ数日である。家族や友達に少しお土産を買って帰りたかったので、ここらへんで少しスペインらしいお土産を探すことにしたのだ。

　トレドというと、“ダマスキナード”という金糸を使った象嵌細工が名産らしいが、私はこういうものには興味がなかったので、まったく見ていない。それよりもあちこちの小さなお土産屋さんで売られている、かわいらしい陶器に目を引かれ色々欲しくなってしまうのであった。

　スペインでは、全国各地でそれぞれ特徴のある焼き物が色々作られているらしい。私は詳しい生産地や名前などはまったく知らないのだが、旅行に行くとだいたいこういうものに目を奪われる傾向にある。日本にはない華やかでかわいらしい陶器製品があると、ついつい欲しくなってしまうのだ。部屋に飾るだけで、その時の旅行を思い出しそうで、想い出として身の回りに置いておきたくなるのだ。

　トレドのお土産屋さんでも、色々なタイプのかわいい陶器があった。あれこれ欲しくなってしまったが、なにしろ陶器なので重いし壊れやすい。いくら旅も残り少ないと言っても、私はスーツケースなんかで旅行に来ているわけではなく、大きなリュックだけだ。荷物を増やしたら大変だし、持って帰る途中に壊したりしてももったいないので、慎重に選ぶことにした。

　慎重に選んだ結果、やはり荷物になることを考え、自分のものはあきらめ、私のようにかわいらしい陶器が大好きな母のために、小さな一輪挿しみたいな水差しの形をした陶器をいくつか買った。私が買うようなものなんて、有名な本格的な陶器などではなく、安物のいかにも観光客向けの代物なのだが、それでも記念にはとてもかわいいし、日本では売ってないようなものだ。それに安いので、荷物を考えなければ、もっとどっさり買って帰りたいところだった。

　お土産も少し買えたので、トレドのその他の有名な観光名所を見ながらまた町をぶらつくことにした。見るといっても、私はそれほどトレドの観光名所に詳しいわけでもないし、どうしても見たいものがあったわけではないので、町をぶらぶらしながら、その建物を外から確認するだけといった感じだったが。

　そんな感じで、歩きながらカテドラル、アルカサルなど有名な建物を外から眺めて歩いた。

　カテドラルは、トレド大寺院と言って、スペイン・カトリックの総本山らしい。いかにも総本山らしく、威厳のある古そうな建物だ。1266年に建設が始められ、1493年に完成したというヨーロッパらしい建物だ。ヨーロッパはこうして長年かけて建てる豪華な建物が多い。建物に対する価値観が日本人とは違うのであろう。

　長い年月をかけて建てるといえば、スペインはバルセロナのサグラダ・ファミリアを思い出してしまう。バルセロナには今回は行けないけど、いつか行ってみたい町の一つだ。

　カテドラルの中には、美術館もあり、エル･グレコをはじめ、ゴヤやティツィアーノ、ヴァン・ダイクなどの作品も展示されているらしいので、本当はぜひ中も見学してみる価値があったのだろう。

　アルカサルは、これもまた特徴的な建物で、トレドの町中でとても目立つ大きな建物だ。13世紀にできた要塞らしく、13世紀から16世紀にかけて大改築され、今の形になったという。

　その後も度重なる戦争や火災で破壊され、その都度再建されてきたらしいが、新しいところでは1930年代のスペイン市民戦争で大きな痛手を負い、再建されたのだという。戦争とは切っても切れない歴史を持つ建物なのだろう。

　私はこの建物の中にも入らず、外から眺めただけだったが、地下には市民戦争の際、フランコ軍の家族がたてこもった跡が生々しく再現されているという。町を歩くだけでは見えない歴史が、きっとこの建物の中を見れば見えてくるのかもしれない。

　こうして気ままにトレドの町を歩いて、お土産屋さんを見たり建物を見ているうちに、16時の待ち合わせの時間になった。来た時と同じ道をたどっているつもりが、いつのまにか違う道を歩いていたりしたが、無事にバス停にたどり着くことができた。

　バス停で予定通りMちゃんと落ち合い、16時のバスに乗ってマドリードに帰った。マドリードへは17時ちょっとすぎに着き、今回はちゃんと地下鉄に乗りホテルまで無事に帰りつくことができた。

　それにしてもホテルをいい場所に取ったため、地下鉄の駅からもすぐ近いし、中心地だし、便利なことこの上なかった。マドリッドにそれほど長く滞在することはできないので、効率良く観光するにはこれはとても都合が良かった。

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