朝起きたら、体調はほとんど回復していた。昨日死にそうだったのが嘘のようだ。だから今日は予定通り、スペインに帰ることにした。
8時ちょっと過ぎにタンジェの港へ向かった。港でスペインに帰る船のチケットを買おうとしたら、モロッコのディラハムしか使えないと言われた(港なので、スペインのお金でも使えると思っていた)。私たちはこの時、もうモロッコのお金はほとんど持っていなかったので、慌てて両替所へ戻り、1万ペセタ分をモロッコのディラハムに両替し、船のチケットを買った。
こうして9時のフェリーに乗り込んだ。船の入り口でパスポートをチェックしていた警察官の人がとても親切だったので、あれこれわからないことや下らないことを質問しておしゃべりをした。すると彼はお土産にと、モロッコのピンバッジを私にくれた。本当に最後までモロッコの人たちはみんないい人たちだった(少なくとも私たちが接した人はそうだった)。
乗船に時間がかかったのか、9時出発のはずの船は、30分遅れて出発した。モロッコに来た時の船にくらべ、帰りの船はとても小さく、本当にスペインのアルヘシラスに戻るのか心配してしまったが、ちゃんと2時間ちょっとでアルヘシラスに着いた。船にも色々な種類があるらしい。
さて、アルヘシラスに着いたら、今度はスペイン内の移動だ。今はスペインの南部にいるわけで、これから私たちは南部のアンダルシア地方の町をまわりながら首都マドリッドまで行く予定なのだ。今日はまず一つ目の“ロンダ”という町を目指すことにした。
アルヘシラスからロンダまでは、私がガイドブックで調べたところ、電車で行けるらしい。とりあえずスペインのペセタにお金を両替し、駅に行きロンダ行きの電車の時刻表を見てみることにした。
するとロンダ行きの電車は、次は19時15分までないという!モロッコから帰ってきたばかりで、まだ真昼間で19時まで何時間もあった。いくらなんでも待ち時間が長すぎると思い、電車以外の方法で行くことを考えることにした。
バスターミナルへ行き、ロンダ行きのバスがないか探してみたが、残念ながら一つもなかった。こうなったら仕方ないので、大人しく19時の電車を待つことに腹を決めたのであった。
ガイドブックに、「アルヘシラス〜ロンダ間の電車の車窓から見る景色は見逃せない」と書いてあり、それを楽しみにしていたこともあったので、数時間待つことも我慢することにしよう。最初から別に急いでいる旅ではない。こんな時こそ自由旅行の自由きままさが発揮できるというものだ。
というわけで、駅の近くのバルで遅い昼食をとることにした。ご飯を食べていたら、近くに座っていたモロッコ人が色々話し掛けてきた。バルセロナにこれから向かうのだという。私たちがロンダに行くというと、車なのでロンダまで乗せていってくれると申し出てくれた。別に怪しそうな人ではなかったが、一応お断りし、予定通り電車で向かうことにした。
夕方再びアルヘシラスの駅に行き、チケットを買いここで電車を待つことにした。すると、モロッコに行く時一緒だったあのイギリス留学中の日本人のカップルに遭遇したのだ。モロッコの港で別れてから数日ぶりの再会だ。
あの時はとても元気であった彼女が、この時は体調を崩し、かなり具合が悪そうにぐったりしていた。やはり私のようにモロッコの食べ物にあたったのだろうか。
こんな時こそ看護学生の威力発揮とばかりに、相棒のMちゃんはその彼女の面倒を色々見てあげていた。彼氏にあれこれアドバイスし、薬をあげたり、脱水にならないようポカリスエットを分けてあげたりしていた。2人もロンダを目指しているということで、また一緒に電車を待つことにした。
この時、モロッコでの話を色々聞いた。港で私たちがモロッコ人の変なおじさん(モハメッドさん)につきまとわれているのを見て、自分たちはさっさと逃げてしまったらしい。でも結局、色々なモロッコ人にぼられたり騙されたりして、散々な目に遭ったという。しかも彼女はすごい体を壊している・・・。大変なモロッコ滞在だったらしい。
でもこれは彼らに限らないのかもしれない。その後、日本に帰って来てからもモロッコに行った人に話を聞くと、モロッコではかなりの率でぼられたり騙されたりするのだという。だから私たちはかなり幸運だったのだ。
最初は港で変なおじさん(モハメッドさん)につきまとわれ、まったく困ったなと思い、さっさとどこかにいなくなってしまったあのカップルを羨ましく思ったのだが、結果的に私たちはそれが吉と出たのだ。モハメッドさんはぼったり騙したりすることなく、本当に最後まで親切に私たちの面倒を見てくれたのだ。
フェズでもそうだ。アディルたちに親切にしてもらったが、騙されるたり嫌な思いをすることはなかった。これを幸運と呼ばずに何と呼ぼう!いつも思うが、私は旅行に行くと、なかなかこういうふうに運がいいのだ(ギリシャでは痛い目に遭っているが・・・)。
まあ、もしかしたら私の気づかないところで小さくぼられたり騙されたりしているのかもしれないが、たいした被害ではないということだ。私が嫌な思いをしなければいいではないか。ということで、あらためて自分の幸運に感謝した。
やっと出発時間の19時15分になり、アルヘシラスを出発。ガイドブックに「進行方向右側に座ると良い」と書いてあったので、そのアドバイスに従い、席を取った。19時を過ぎているといっても、夏のスペインはまだ明るい。ちょうど夕暮れ時で、穏やかな田舎の風景が窓の外を過ぎていき、それをのんびり眺めながらロンダへの移動を楽しんだ。
なんていうことはない田舎の景色を見るだけでも、旅行というものは楽しいものである。人間にとって未知の世界というものは、よほど心を惹きつけられるものなのだろう。私は特にそういう好奇心旺盛の人間だからかもしれない。
普段の生活でも、時間があるとよく近所を散歩したりする。でもいつも同じところを散歩すると、飽きてしまい嫌気がさしてしまうので、なるべく新しい場所を開拓するようにしている。するとそれだけでも散歩が楽しくなる。見慣れない町や路地、お店を見て歩くだけで、好奇心が満たされるのだ。
ましてや、美しいヨーロッパの田舎の景色である。面白くないはずがない。非日常の世界がそこには広がっており、旅の楽しさをより増してくれるのであった。こうして窓からの景色を楽しんでいたので、電車での移動はちっとも苦にはならなかった。ロンダにはほぼ予定通りの21時10分頃着いた。
マタニティ日記 |
看護師転職記 | 保健師学校の思い出 | 看護師のお仕事! |
看護師のお悩み相談室 |
プラハ旅行記 | イタリア旅行記 | ポルトガル旅行記 |
ギリシャ旅行記 | 南欧・モロッコ旅行記 | みんなの旅行記 |
福岡旅行記 | 長野旅行記 | 那須・鬼怒川旅行記 |
子連れ家族旅行記(国内編) |
読書・食べ歩き日記 |
旅行大好き・たび猫!ホーム |
カンボジア&タイ旅行記 |
このサイトはリンクフリーです。好きなページにリンクを張って頂ければと思います。
たび猫の南欧・モロッコ旅行記