ファドのお店に行き、中に入ったら、とてもきれいで高級そうな雰囲気だったので一瞬たじろいでしまった。さっき予約に来た時は、店先でお兄さんと話しただけだったので、中の様子がわからなかったのだ。値段も安かったのでそれほど高級ではないだろうと思っていたので、不意をつかれたような感じになってしまった。何しろ、私は貧乏旅行でかなりラフな格好をしていたのだ・・・。
しかし、お店の人たちはそんなことで私たちぞんざいに扱うでもなく、親切にもてなしてくれたので、安心して用意された席についた。
料金にドリンクもついていたので、私は白ワインを頼むことにした。グラス1杯を出されるのかと思ったら、ボトルが一人1本出てきた。お酒好きの私としてはとても嬉しい^^しかも、白ワインはすっきりとしていて、とっても飲みやすい♪さっきビールも飲んでいたのに、おいしくワインもいただけた。
そしていよいよファドが始まった。まずは女性シンガーが出てきて歌った。ファドはよく、日本の演歌と同じ様なものだと言われるが、女性シンガーの声はとても太くてしっかりしていて、日本の演歌よりもかなり迫力のあるものだった。もの悲しさや切なさなどを歌っているところは似ているのかもしれないが、ファドのほうが普遍性があるように私には感じた。社会の底辺の人たちの間から生まれた音楽だというが、それなりに迫力もあり、芸術性もあるように私には感じたのだ。
それにまたバックのギターの音色がなんとも美しい。私はギターの音色が大好きなので、歌手の気持ちをたっぷりこめた音色とギターのポロンポロンとした切ない響きが、たまらなく私の心に響いてきた。
次は男性歌手が出てきて歌った。男性歌手の声もオペラ歌手みたいにしっかりしたはりのある声で、迫力満点。もの悲しいファドの調べは、言葉や意味はわからなくても、その歌手の持つ美しくて迫力のある声で、雰囲気が十分伝わってきて感動的なものだった。
女性歌手と男性歌手が、それぞれ何曲か歌ったり、途中からは一緒に歌ったりと様々な曲を演奏してくれた。また、最後は観客も参加して一緒に踊ったり、お店の人がサービスで写真を撮ってくれたりと(もちろん写真は有料)、エンターテイメントたっぷりの一面もあり、とても楽しかった。
ワインも1本飲みきれないかと思ったが、ファドの素晴らしさと楽しさに気分が高揚し、1本では足りないほどであった。
こうして初めての本場でのファド体験は、とっても楽しいものだった。私はその後数年してから、ポルトガルのファド・シンガーが来日した際、J―WAVEのラジオの懸賞でコンサートのチケットが当たり、聴きに行ったことがあった。
もちろん東京の大ホールで聞いたファドの音楽も素晴らしかったが、あのリスボンの妖しげな町角の小さなファド・レストランで聴いた迫力には、かなうはずもなかった。小さなお店であったからステージがすぐ近くであったということもあるのだろうが、やはり本場でその土地の雰囲気に触れながら聴く大衆音楽というのは、やはり特別なものがあるのだろうと思った。
こうしてリスボン最後の夜は、とても思いで深いものとなり、明日は心置きなくラゴスの町へ旅立って行けそうだった。
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