さて、部屋に荷物を置いて少し休んだ後、さっそく旧市街であるメディナの町を観光することにした。メディナに繰り出したら、どこからともなくあのおじさんがふらりと現れ、メディナをあちこち案内してくれると言う。何だか不思議なおじさんだ。
いいホテルを紹介してくれたので、港で会った時ほどおじさんを疑う気持ちはなくなっていた(まだこれからぼられる可能性もあるので、100%信用はしていなかったが)。おじさんの申し出を受け、メディナを案内してもらうことにした。
おじさんのあとについて歩いてみてすぐわかったのだが、メディナは細い路地があちこち走っていて、とても複雑な町並みだということだった。『地球の歩き方』には、「メディナも新市街も他の大都市とくらべこじんまりしているので、一人で歩いても迷うことはない」と書いてあったが、私は十分迷うのではないかと思えた。たしかにこじんまりはしているのだが、細い路地と路地の両側に並んでいるたくさんの商店や人の喧騒に心を奪われていると、自分の帰るべき道がわからなくなってしまうのではないかと思った。
メディナを案内してもらっている間に、おじさんと色々話をした。おじさんはモハメッドという名前でどうやら5ヶ国語は話せるらしい。英語、フランス語、アラビア語、・・・etc.タンジェの町は国際都市なので、このくらい語学が堪能な人は多いらしい。おじさんは私たちに話し掛けたように、外国の観光客に話し掛けたり友達になったりして、自分の語学の才能を磨いているらしい。だから私たちにも親切だったのかもしれない。それにしてもその努力は素晴らしい!!
私たちを案内している間にも、メディナの路地で白人の若い男性と親しそうに挨拶をしたりしていた。彼はタンジェの町で英会話を教えている人らしく、おじさんの友達だという。こういうところから何となくおじさんの人柄が見えたような気がした。
おじさんのお陰でメディナの町並みを一通り見ることができた。私たちがおいしいモロッコ料理を夕食に食べたいというと、おじさんはホテルの近くにあるレストランに私たちを案内し、お店の人に託すとまたどこかに消えていった。結局おじさんは私たちから何かを奪い取ろうとしたわけではなく、ただ単に親切にしたかった、友達になりたかっただけだったみたいだ。
旅行に来るとよく思うことだけど、“おじさん、疑ったりして本当にごめんなさい。親切にしてくれて本当にありがとう”、と思わずにはいられなかった。
おじさんに紹介してもらったレストランで、初めてモロッコの代表的な家庭料理のクスクスというものを食べた。これは北アフリカを代表する煮込み料理ということで、日本の北アフリカ料理のレストランでも食べられるところが多い。
スムールと呼ばれる粗粒状の蒸した小麦(お米みたいに見える)と野菜、羊肉や鶏肉を煮たものだ。各家庭でレシピがあるらしく、食べるお店や家によって味は違うのだろう。旨みの決め手はスパイスだというから。
私はここで初めてクスクスを食べたのだが、スムールというのをお米を想像して食べたのがいけなかったのか、その下触りや味に若干違和感を感じ、まずくはないけれどそれほどおいしいとは思えない料理だというのが正直な感想であった。
でも、その後数年してから、東京のレバノン料理のお店でクスクスがあったので食べてみたら、とてもおいしいと感じたので、やはりお店によってもだいぶ違うものかもしれない。モロッコに行ったらやはり一度は試したい料理である。
さて、こうしてタンジェの町、アフリカ大陸での初めての1日は無事に過ぎた。文化も人種も宗教も違うこの町でも、どうにか良いホテルも見つけられたし、だまされたり犯罪に巻き込まれたりするようなトラブルもなかった。モロッコ料理も味わえた。明日には、タンジェの町からもうちょっとだけアフリカ大陸の中に入り、モロッコの有名な古都の一つであるフェズという町に向かう。さらにアフリカの奥に入っていけるかと思うと、今からワクワクする私である。
でもフェズはタンジェにくらべ、砂漠の中にあるといったら大げさなのかもしれないが、乾燥していて照りつけるような暑さの町だという。今夜はゆっくり寝て明日のフェズの町に向けて体力を温存しておくことにしよう。
今朝はスペインのアンダルシアにいたのに、今は自分はアフリカ大陸に足を踏み入れている。そんなことを考え、感慨にふけりながら眠りについた。
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