セビーリャに着いて思った。セビーリャはアンダルシア地方の中心都市なだけあって、とても大きな都市だということを。リスボンを離れて以来、私はポルトガルの田舎の小さな町々を辿ってきた。だからセビーリャは久しぶりに見る大都会のように私には見えた。
小さな町ならホテル探しも簡単だったが、この大きな町ではホテル探しも大変そうだと思いながら、アンダルシアのものすごい暑さの中を大きなリュックを背負って歩き出した。最初は町の地理が頭に入っていないので、地図を見ながらとにかく歩いて自分で町を把握するしかないのだ。
運が良いことに、すぐに宿の客引きのおじさんに出会った。まったく当てがないところでは、客引きのおじさんに出会うととても助かったと感じる。めくらめっぽうあちこち歩いて安宿を探すのも、けっこう大変だからだ。
とりあえずおじさんのあとについていき、部屋を見せてもらった。部屋は、普通の安宿といった感じで、まあまあ清潔でそれほど悪くない。ツインの部屋で一人1500ペセタ(約1320円)である。そこは、各国の若い旅行者に人気なのか、色々な国の旅行者がいる。私たちみたいな感じの人たちだ。胡散臭そうではなかったし、もうこれ以上暑さの中部屋を探すのも面倒だったので、そこに決めた。
セビーリャに着いたのが夕方の5時くらいだったので、もうだいぶいい時間だ。宿の1階にはカフェがあったので、そこで夕食を食べた。スペインといえば生ハムとかが有名なので、さっそく生ハムをはさんだバゲットみたいなサンドイッチを食べてみた。まあ、普通のおいしさといった感じ。最初はこんなもんだろう。
スペインには町角にバルという酒場がたくさんある。沢木耕太郎さんの『深夜特急』の中でも、スペインではこのバルが何度も登場してきて、おいしそうなお酒とおつまみに、とても惹かれたのだ。「いつか私もスペインに行って、バルをはしごしておいしいものをたくさん食べたい!」とそう思ったものだ。明日からおいしいものをたくさん食べよう♪そう思い、今夜はこれで満足することにした。
夕食を終えて部屋に戻っても、外はまだまだ明るい。夜といった感じではない。部屋でじっとしているのももったいないので、一人でその辺をぶらぶらしてくることにした。宿の階段を降りていると、この町に留学しているという日本人の女の子に出会った。
彼女はユキさんといい、なんとフラメンコ留学をしているというのだ!フラメンコをやっているだけあって、すらっとした体型のはつらつとしたきれいな女性であった。私のように、さっきスペインに来たばかりというよそ者と違って、ユキさんはだいぶスペインの町に馴染んでいるように感じた。なんだかその雰囲気をまぶしく感じた。きっとスペイン語も話せるんだろうな〜、なんて彼女を羨ましく思ったものである。
私は留学したくてもできなかったという思いがあるから、海外で生活している若い人などを見ると、とても羨ましくまぶしく感じるのである。外国で生活するには、私たちにはわからない苦労も多いのだろうが、日本では得られない貴重な経験を得ることができるのも事実であろう。フラメンコという私には未知なものを学ぶためにスペインに暮らすユキさんを見て、そんなことを思った(フラメンコというのも、なんだか華やかでかっこいいではないか)。
さて、とりあえず町中を観光してみよう。私たちは今回、セビーリャにゆっくり滞在するつもりはなく、ほとんど通り過ぎるといった感じなのだ。だから見られる時に町を見ておこうと思った。
まずはてくてくと歩いて、“タバコ工場”の前を通った。この“タバコ工場”は現在はセビーリャ大学の法学部となっているが、1750年にタバコ工場として建てられ、あのビゼーの『カルメン』のオペラのカルメンがここで働いていたことになっているところなのだ。
私は昔、カルメンの音楽が大好きで、本でも読んだので「ふむふむ、ここがカルメンに出てくるところなのか」などと面白く思いながら通った。『カルメン』の音楽はとても情熱的でかっこいい。聞いていると血が踊るような感じがする。さすがスペインといった感じだ。
そして、インディアス古文書館、スペイン最大のカテドラルや美しい建物で有名だというアルカサルなどセビーリャのメジャーな観光名所を次々と通り抜けていった(中には入らず外から見るだけだったが)。
そして最後にサンタ・クルス街へ行き、その町中を通り抜けて宿に帰ることにした。サンタ・クルス街は、かつてユダヤ人街であった地区で細い入り組んだ道があちこち走っているところだ。まさにアンダルシアの風景だといわれているところらしく、つねに観光客で賑わっているところなのだ。
そのサンタ・クルスの町の中を適当に歩いて通り抜け、宿に戻ることにした。これでだいたいセビーリャのめぼしい観光名所は見られた。セビーリャはアンダルシア最大の都市なだけあって、活気がある町だ。それに歴史的な美しい建物があちこちにあったり、サンタ・クルス街のようないかにもスペインらしい町並みもある。セビーリャだけでもかなり楽しめる町なのではないかと思った。
私たちはセビーリャにはゆっくりせず、明日はもう海を渡ってモロッコに行くつもりだ。だから急ぎ足で私なりに観光名所をぐるっと見てまわった形で終わってしまいそうだが、またいつかセビーリャを訪れて、ゆっくり町を味わってみたいと思った。
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