たび猫の南欧・モロッコ旅行記

南欧・モロッコ旅行記11日目

南欧・モロッコ旅行記11日目:地獄の長距離バス

 暑さと体が弱っていたため、最初のお昼休憩のところまで私はぐったりと眠っていた(眠れただけ幸いというべきなのか)。でも、ものすごい暑さで眠るだけでも汗と一緒に体力が失われていく感じで、ますます弱っていく私。かろうじてバスの中でも下痢をよおすような最悪な事態にはならなかったものの、腹痛と嘔気はずっと続いていた。

 朦朧とする頭の中で私は考えた。“きっと夕べのチキンの丸焼きがあたったに違いない・・・。そういえば油っぽいチキンだったけど、きっとあの油が古かったんだろう・・・。”などと考え、おいしくてモリモリとチキンを食べた自分を恨んだ。

 “これじゃあ去年の中国の二の舞ではないか。このままモロッコでまた動けなくなったらどうしよう”という後悔と不安が頭をよぎった。

 それにしても、インドでもお腹を壊さなかったのに、最近の私ときたらだいぶ胃腸が弱ったもんだ。それもこれもあの中国旅行でお腹を壊して以来、めっきり弱くなった気がする。やっぱり中国で日本にはいない強力な寄生虫をお腹に抱え込んでしまったためだろうか。それともただ単に自分が歳をとってきて、無理すると胃腸にくるようになってしまっただけなんだろうか。あれこれ考えてもしょうがないことを考えてしまう私であった。

 下痢止めや腹痛をおさえる薬を飲めばいいと思うかもしれないが、こういう時はだいたい日本から持ってきた下痢止めや腹痛をおさえる薬は効かないのである。それはもう去年の中国旅行で体験済みの私であった。

 去年夏の中国で同じ様な症状にやられ、ホテルで腹痛と嘔吐と下痢にひたすら苦しめられ、すがるような思いで日本から持ってきた下痢止め・腹痛止めの薬を飲んだけど、まったくもって(本当にまったくもって)効かなかったのである!! 

 きっと日本でかかる腹下しと中国でかかる腹下しは種類が違うのだろう(本当か?!)。考えてみれば何だか中国やモロッコの細菌のほうがいかにも強力そうではないか。だから日本のやわな薬ではきっと効かないのである(私の結論)。

 中国での私は、医療の勉強をしている看護学生とは思えないとんでもない行動をとっていた。決められた用量なんてまったく守らず、おさまらない症状に焦り、薬を何錠も何錠も飲み足してしまったのだ(学校の先生に知られたら怒られそ〜^^;)。それでも(当たり前かもしれないが)まったく効かなかった(薬の副作用で死ななかっただけでもラッキーかも)。

 この中国の体験で、外国、特に日本よりも清潔概念のかなり低い国でかかった腹下しには日本の薬は効かないということを学んでいたので、今回は薬を飲むことはしなかった。だから、今回私はバスの中でひたすら眠って体を休め、飲みたくはないけど無理矢理ミネラルウオーターを少しずつ飲み、脱水症状にだけはならないようにするという方法をとった。

 それにしても、このバスの中で私は、“私はこのままモロッコのはずれで死んでしまうかもしれない・・・”と本気で考えた。たしか去年中国でも同じことを思った気がするが・・・。成長していない私。

 そして思った。“やっぱり死ぬなら日本の畳の上で死にたい”と。とにかくひたすら体力を温存し、今は日本に帰ることに集中しよう、自分をそう励まし、地獄のバス旅行を続けるのであった。

 人間ついていない時というのは、とことんついていないものである。何時間もかけ、冷房の効かないバスでタンジェの近くまでどうにか進んできた。しかし、タンジェの一つ手前の大きな町で、とうとうバスの機能の限界が来たのか、これ以上走れないということになったのだろうか、そこで乗客全員降ろされてしまったのであった。

 ぐったりしている私は、Mちゃんの力を借り、どうにかバスから降り荷物などを受け取り、何だかよくわからないがバスの運転手の指示に従い違うバスに乗り換えさせられた。 

 これだけでも弱っている私は十分体力を消耗するのに・・・。恨んでも仕方ないがフラフラしながら指示通りバスを乗り換え、再びタンジェを目指した。

 乗り換えたバスは幸いなことに冷房も壊れていなかったので、動くのは辛かったけど乗り換えた後は楽だった。“こんなことだったら、もっと早くバスを取り替えてくれたらよかったのに・・・”と弱りながらも考える私であった。

 こうして最悪な状態ながらタンジェの町に帰ってこられたとき、どんなに嬉しかったことか。本当に本当に心の底からホッとしたのであった。同じ倒れるでも、内陸にあるフェズで倒れるよりもタンジェのほうがヨーロッパに近いし、日本にも近い気がしたのだ。とりあえず一山越えたという安心感がでてきたのであった。

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南欧・モロッコ旅行記・はじめに
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